第2回大阪府民族講師会「教育研究集会」
民族学級50周年
――果たしてきた役割と未来への可能性――
               

2001年2月24日(土)大阪市立北鶴橋小学校


 昨年の豊中市立克明小学校での第1回研究集会に続いて、今回は大阪市生野区の朝鮮人多住地域の中心地、民族学級50周年を祝ったばかりの「北鶴」で、研究集会が開催された。

 金容海ソンセンニム(元北鶴橋小民族学級講師)の記念講演「民族学級の50年とこれから」のほか、大阪教育大学の長尾彰夫さんをコメンテイターとしてパネルディスカッションが行われたが、成山治彦(大阪府教育委員会教育振興室児童生徒課長)さんの「民族学級の取り組みが広がり、深まってきておりますことは、民族講師の方々の献身的なご努力の成果であると存じております」という祝辞が文字通り当てはまる。

 配布された一見粗末な資料は、64ページに及ぶ大阪市、大阪府下各地域にわたる「民族学級」教育実践の詳細な集積で、「総合の時間」とのさまざまな連携の実際の姿もそこに明らかにされている。大阪市内各地での地をはうようにして広がる「民族学級」の日本人教員と民族講師が連帯した活動のありさまも印象的だし、また、守口地域(守口市)では、「参加希望者2名でも民族学級開講へ」の実践や、民族学級未設置地域を対象にした「東部地域合同民族学級」のスタートなど「少数点在地域の子どもたちと民族学級」が報告されている。一方で、「「民族教育」も大きな岐路に立たされています。「民族につながる子ども」たちも見つけづらくなりつつありますし、完全週休2日に移行する2002年度以降土曜日開催の「集い」をどう運営するべきか、また、「国籍」に現れない「民族につながる子ども」を探し出し、彼らの民族性を育んで、より豊かな心を持った社会人へと育てて行くべく、「民族子ども会」の運営や「民族講師」の制度保障とどう向かい合っていくのか、課題は山積です」という摂津からの報告も、心に突き刺さる。

 教育の根源的な深みに達するような教育研究の場と膨大な資料を作り出す「実力」も、今は「献身」に支えられており、この民族講師たちと対等にわたり合え、連帯することのできる日本人の教育運動こそが問われている。「献身」ではなく「当たり前の仕事」としての「民族学級」を目指す各地域での努力の様子は、とかく孤立して「自分だけが正義だ」と思いこみがちな筆者の狭い心に、カンフル剤としてよく効く。       (K)

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