2月15日
第3回シンポジウム「本名を呼ぶ教育とは」


 生野区北巽小学校の光井栄雄さんの報告「学年みんなで本名を」。6年前に新任で着任して、何もわからないところから始めた。子供と一緒にやっていく中で、クラスの友だち関係が「そんな関係でええんか」と問いかけ、教師の側から、「だから本名呼ぶ」、「本当の名前、本当の友だち」を目指していく、本名は呼ぶ中で慣れていく。1989年の民族学級設置以来、民族講師と連帯しつつ先輩の先生方の努力が実を結び、「はじめはクラスでも2〜3名だった本名が、最近では日常化してきた」「若い先生ほど抵抗感なく実践をすすめる」という。それでも本名は3割にすぎないが、「教育委員会も校長もこの10年で姿勢が大きく変化した。」
 東淀川区中島中学校からは崎原千恵子さん、カンチジャ(姜智子)さんが1月に宮崎で開かれた日教組51次教研第15「国際連帯の教育」分科会報告「―民族講師とともに―民族教育実践の内容ををより確かなものに」の内容を詳しく。国語科教科授業の自然の流れの視点、被差別部落生徒と朝鮮人生徒の関係を軸に、ユンドンジュ(尹東柱)の詩の授業が語られる。「星とは何」「それは朝鮮」「尹東柱の誇りとは何」「私の誇りとは何」と生徒たちは自分たちで自問自答を繰り返す。
 日教組教研については、民族教育の保障を正面からとりあげ、「日本の教育をどうしようと思っているのか」という疑問に応えられる実践が少ない現状が報告された。
(報告者や参加者の発言から簡単にまとめました。文責印藤。)
 
 
「大阪市教号外(2001年10月16日)」について
 
 大阪市教委の「在日外国人教育基本方針」に対して、人権無視の本名を呼び名のる教育押しつけは許されない」とする宣伝がなされている。30年前からさまざまな人々によって繰り返されてきたのと同一の論点も多いが、他方で「差別はもうなくなってきた」という主張が部落差別に関わる議論とも混同されて登場している。また、「いつまで謝罪か、戦争責任ももう片が付いた、古い」とする「扶桑社教科書」ばりの主張も含まれる。
 これらの「ためにする批判」の危険性をふまえて、その克服を呼びかけたい。本会事務局でこれへの見解を準備中。(事務局)
 
 
2月16日府立外教第9回研究集会
 
 全府立高校などが参加する府立外教の研究集会。金秀吉さん(映画監督。勝山高校時代生徒として見た鍵谷桂子先生のことも話されていた)の記念講演では、映画「GO」に対する鋭い批判も飛び出した。筆者も後で「GO」を見て、大阪、特に生野区と、東京での在日朝鮮人に対する見方の違いを痛感した。
 分科会では、「オモニ奮闘記―小中高で韓国・朝鮮文化を」で和泉市臨時職員の李秀子さんが富秋中学校など地域の小中学校でチャンゴの音を響かせ、伯太(はかた)高校や阿倍野高校でもチャンゴや朝鮮語を教えているようすを話し、阿倍野の市場さん伯太の米谷(まいたに)さんとパネル討論をおこなった。もう一つの分科会では逆風下の海外修学旅行・情報交換会がおこなわれた。(印藤)
 
 
大阪府民族講師会第3回教研集会
「民族学級から広がる総合学習」

 守口市立第一中学校で、守口の教員によるすばらしい協力体制のもとでおこなわれた。全体集会開始時にはすいていた体育館の会場もやがて一杯になり、各分科会で活発な議論が展開された。守口二中カンヒョユ(姜孝裕)さん「同胞の子どもたちにとっての「生きる力」とは」、大阪長橋小リュチョンシル(柳晴実)さん「子どもがつないだ民族学級とクラス実践」、「民族学校との交流」の報告のほか、教育実践資料集のついた集会資料冊子は、今回から本格的に製本された貴重なもの。(問い合わせは大阪府民族講師会06-6779-4944)
 
 
『金達寿ルネサンス』刊行を祝い
辛基秀さんを励ます集い
 
 市川正昭さんの開会の言葉と黙祷の後、姜在彦さんのあいさつ、NHKディレクター若木香織さんのお話、上田正昭さんのあいさつと献杯と、共同通信中川健一さんが中心になって会は進行した。本の編者である辛基秀さんは3月になって退院されたが、残念ながら出席にはならず、娘さんお二人が代理として花束を受けられた。本は1998年9月にリバティおおさかで開かれた金達寿さん追悼シンポジウム(上記上田、姜お二人のほか鶴見俊輔、辛基秀さん)の記録などが掲載されている。(2000円。解放出版社06-6561-5273)
 
 
雑誌『現代コリア』の
神奈川在日朝鮮人教育への攻撃
 
 昔の『朝鮮研究』から改題されて以来見たこともなかったこの雑誌だが、たまたまのぞいて見たら、あまりにひどい文章が載っていて、びっくりした(平成14年3月号)。特集「悪の枢軸=金正日政権」の中身は苦笑させられるような内容だが、何にしろ多少参考になることもないではない。その上に平塚市の中学校教員の野牧雅子という人が「関東大震災朝鮮人虐殺説への重大な疑問」を書いている。
 「疑問」の内容は、@殺された人数がはっきりしない、A軍隊警察一般行政のデマ工作説は成立しない、など。赤池警視総監が賞賛され、「自警団は…地域連帯の一環として治安に貢献した面もあった」と言う。
 「後藤周氏等信愛塾傘下の教師たち」が「デマを流布し」「あやしげな農楽やダンスを刊行の民族文化と称して学校で教え」「ありもしない制度的差別を吹聴して」と攻撃を受けている。私たちは横浜の教師たちと連帯し、この攻撃を受けて立つ。(印藤)

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