本名によって育まれた生徒のつながり
                         

大阪府立池田北高校 増田俊道
 

 大阪府立池田北高校に、今年も韓国籍の生徒が本名で入学しました。これで3年連続です。3年前までは、朝鮮・韓国籍の生徒は各学年に1〜2名在籍していましたが、高校生活は通名(日本名)で過ごし、朝鮮文化研究会(朝文研)に結集することもありませんでした。

 2年前に本名で入学してきたPさんの存在が、大きな転機になりました。それまで日本国籍の生徒数名でなんとか活動を続けていた朝文研に、Pさんのクラス担任の薦めもあってPさんとその友だちが集団となって入部してくれたのです。文化祭に向けてチャンゴの練習をしたり、Pさんのご両親が経営されている韓国料理店から韓国の物産を仕入れて模擬店を出したり、Pさんの出身中学校の朝文研とつながりができたりして活動もダイナミックになりました。

 1年前にはPさんの弟も入学して、ますます朝文研の活動が拡大しました。大阪府教育委員会の事業である学校支援社会人等指導者として、大阪府学校支援人材バンクに登録されている柳敬修(ユウ・ギョンス)さんに来ていただくこともできるようになりました。柳さんはPさん兄弟にとっては豊中ハギハッキョの先輩でもあり、チャンゴや朝鮮語を教えていただくだけではなく、地域での活動の情報や在日問題に関するアドバイスもしていただいています。

 そして、今年、P兄弟が本名で池田北高校に通っていることを豊中ハギハッキョで知ったCさんが、本名で入学してきてくれたのです。Cさんは、中学校の生活は通名で過ごしていたものの、中学校卒業前に全校生の前で本名宣言をしたそうです。高校には本名で通いたいと考えていたCさんにとって、P兄弟の存在はどれほど大きかったことでしょう。池田北高校を選んだ第一の理由もP兄弟がいるからだそうです。

 高校生の時期には外国人登録の呼び出しがあったり、卒業後の進路のことで悩んだりすることもあると思いますが、彼らのつながりの中で、どんな困難なことも乗り越えていってくれるものと信じています。

     
inserted by FC2 system