長橋小学校便り1
民族学級修了式と子どもたちの本音
大阪市立長橋小学校  亀川 育寛
 3月11日、長橋小学校民族学級6年生の修了式が行われ、14名の子どもたちが長橋小学校民族学級から巣立っていきました。私は長橋小学校の在日朝鮮人教育主担として、初めて民族学級の修了式に参加しました。

教室の環境を整えた1〜4年生は、式には参加しませんでしたが、環境の整った教室を見て、自分も数年後にこの場に立つために、これからも民族学級でたくさんのことを学んでいこうと改めて決意した様子でした。5年生は式に参加し、「お祝いの言葉・歌」を贈りました。これからも自分と「ウリナラ」のことを考えていくことや、これからは自分たちが民族学級を引っ張っていくということを語っていました。

 1〜5年生にとっても修了式は、数年後の自分を想像しながら、これから自分が何をするべきかを考えることができる大切な行事であると感じました。

 さて、修了式の主役である6年生ですが、式中の雰囲気は厳かなものではなく、和やかな感じでした。しかし、6年生からの「決意の言葉」になると、「中学校に入ったら朝鮮問題研究会に入ってがんばります」「もっと早くに民族学級に入っていればよかった」などの言葉が聞かれました。

 私は、驚きました。なぜなら、子どもたちの式中の様子から、このような言葉が出てくるとは予想していなかったからです。そして、日頃から子どもたちの態度にばかり気を取られ、子どもたちが心に本音を持っていることを考えようとしていなかった自分に気づかされました。

 この1年間を振り返ってみると、民族交流会・合宿など、さまざまな行事がありました。そのすべての行事に結集している子どもたちが全員参加できたわけではありませんでした。行事への参加を呼びかけてもよい返事が返ってこない子どももいました。しかし、そんな子どもたちも心の中では、口にはしないさまざまな思いを持っていたのかもしれません。

 今回、修了式に参加したことで、子どもたちが心に持っている本音を表現しやすい環境を整えるためにも、主担として、在日朝鮮人教育の取り組みを全学年に推進していかなければならないと改めて感じました。子どもたちが本音を表現してくれるのが、いつになるかはわかりません。それは在校中ではないかもしれません。しかし、その時を信じて、さまざまな実践を行っていこうと考えています。
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