日教組教研 概要報告
大阪府・大阪市立中道小学校
足立 須香
先生、わたしが一番に入るから
〜子どもと保護者の願いと共に 大阪市内民族学級100校目〜
1.地域のようすとこれまでの経過

 大阪市立中道小学校は、大阪城のある「森ノ宮」と最近の”韓流ブーム”でメディアに取り上げられることの多い「鶴橋」の間「玉造」にある。「コリアタウン」で知られている生野区に隣接したところで、朝鮮半島にルーツを持つ人々が多く住んでいる地域である。

 近隣の学校には、すでに民族学級が設置され、長年にわたり大阪市の民族教育の中心的な役割を果たす実戦が行われてきた。今年度、多くの人々の願いがかない、中道小学校にも民族学級が設置された。この開設にいたるまでの様々な”出会い”を中心に報告する。

2.「めざせ100校目!」民族学級開設にむけて

○偶然だけれど…「風」(時期がきた!)を感じた出会い

○背中をおしてくれた 言葉

 昨年度のオリニウンドンフェ(子ども民族運動会)に参加したBの言葉「先生、中道にも民族学級できるん?作って!できたら、私が一番に入るから!」

○「知る」ことから始めよう
 まず、外国籍の子どもだけではなく、ルーツを持つ子どもたちの把握に努めた。あわせて、教職員研修も行い、民族講師や委員会の担当者などから、民族学級の歴史、活動などについて学習した。また、外国人教育主担者を中心に、民族学級を開設した学校から情報を提供してもらい、設置についての具体的な流れをもつかむようにした。

○保護者をつなぐ
 7月に保護者代表が来校し、学校長に「遅くとも2005年度の開設」と正式要請があった。

○「プレ民族クラブ」
 子どもたちに、具体的に体験させようと民族講師を招いて「プレ民族クラブ」の日を設け、合わせて、保護者説明会も行うことにした。ルーツを持つ子どもに少しでも情報が届くようにと、案内は全校配布した。学校側の呼びかけに、23名の子どもたちが集まり、半数以上の保護者の方々も参観、説明会に参加してくれた。

 終了後、「民族学級の開講は、学校全体のとりくみにする。」ということを確認しあい、日本人児童にも知らせる意味からも、来年度の芸術干渉は、「チュモニ」公演を行うことに決まった。「チュモニ」の会は、歌や踊り、遊び、劇などを通じて、子どもたちに多文化共生の意識を育てようと民族講師会が行っている学校公演である。実施は、6月2日と決まった。この時は、まさかこの日が開講式に、そして、本当に100校目になるとは誰も思わなかった。

3.スタート!

 2005年度に本校を含め3校開講することが決まり、実施は木曜日となった。そして、民族講師の配置も知らされ、校内で相談した結果、開校式は6月2日に決まった。午前中に「チュモニ」公演、午後から開講式というベストな状況となった。そして、まさかの100校目。

 式には、多方面からたくさんの方々がかけつけてくださった。また、本校卒業生でもある作家の梁石日(ヤン・ソギル)さんをはじめとし多くの方からもお祝いのメッセージも頂戴した。児童代表として、Bが、お祝いに参列したクラスの友だちの前で、民族衣装を着て本名を名乗りあいさつをした。

 順風満帆にいったかにみえる中道小学校民族学級の開講ではあるが、スタートするまでには様々なできごとがあった。しかし、そのたびに周りから温かい支援や協力をいただいてきた。組合の支部や本部、PTA会長や役員の皆さん、北中道小学校と玉津中学校の民族学級のソンセンニムと子どもたち、こりあNGOセンターそして、お隣の連合町会長さん・・・あげればきりがないくらいお世話になった。中道小学校にとっては、小さな一歩ではあるが、100校分のおもいを受け止めた開講式の日であった。

4.今後の課題

 現在は、週一回18名の子どもたちが参加し、教員も交代で活動に加わっている。先日は、参観も行い、保護者会設立にむけての動きも始まった。当面の課題としては、未結集の子どもへの参加をどのように促していくかと民族学級の環境整備があげられる。そして、今後も常に、教職員間での共通理解を図り、保護者や関係諸機関との連携をとりながら、校内実践や校内体制のさらなる充実をめざしていきたい。
     
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