本名を名のることを勧める文書

大阪府立学校合格者説明会で配布される   

2003.3.25

 大阪府立の学校(高等学校等)では、以下の内容が、A4上質紙に印刷されて、教育委員会事務局から示され、入試合格者への説明会で配布された。

 府立のある高等学校では、この文面を若干改定して、入学者選抜学力検査終了直後に先に配布する文面に改め、学校独自の連絡文書(3月25日の合格発表後の説明会で合格者・保護者から学校へ提出する書類で名のる氏名を確定しなければならないことを連絡し、本名を勧める内容、ほかに芸術選択についての説明等も)とともに、3月17日受検生全員に配布した。

 入学者選抜時には、生徒が外国籍かどうかは必要でない情報であり、放っておけば指導要録の写しが中学校から送られてくるまでは確認のしようがない。(調査書には本名を書くことになっているが、名前だけでは国籍はわからない。志願書にも必ず括弧書きであっても本名を書くことにはなっているが、通称名だけの志願書も高等学校として拒否はしていない。)しかし、合格後からすぐに、学校としての諸手続(氏名確認、特に通称名を名のる場合)で必要不可欠になるほか、入学すればすぐに朝鮮奨学会の案内や外国人登録時の公欠についての確認でも必要不可欠である。

  上記高等学校では、合格者説明会の時に、外国籍の合格者・保護者に対して担当者との話し合い、本名就学の勧め、教育方針や朝鮮奨学会の説明が行われている。また、その外国籍合格者を確定するために、各中学校への電話での問い合わせが合格発表後の短時間のうちに行われてきた。しかし、中学校側から、なぜそんなことを聞くのかという反応が返ってくるという実態がある。

 国籍がプライバシーであるというような間違った考え方、行政機関で守られるべきプライバシーと教育機関で必要な情報の区別も付けられないような学校長も、現にいる。(印藤)

 

 

互いに違いを認めあい、共に生きる社会を築いていくために

       生徒と保護者の皆さんへ

                           大阪府教育委員会

 希望を胸に、新たなスタートをきられようとしている生徒と保護者の皆さん、合格おめでとうございます。

 すべての人々の尊厳が守られ、基本的人権が尊重されることは、民主的な社会の基礎をなすものであり、こうした21世紀の社会の実現のためには、豊かな国際感覚と人権感覚を身につけることが求められています。このため、大阪府教育委員会では、国際理解教育や人権教育を推進しています。

 現在、大阪府内の学校には、日本と韓国・朝鮮との歴史的経緯によって日本で生まれ育った韓国・朝鮮人の生徒や、中国、ブラジル、ベトナム、フィリピンなど様々な国にルーツをもつ生徒がたくさん学んでいます。

 日本に固有の文化があるように、それぞれの国や民族には、それぞれの異なる文化や習慣、言葉、名前などがあります。そのような中で、これからの社会を担う皆さん一人ひとりが、互いの違いを認めあい、共に生きようとする態度を身につけていくことが大切です。それはまた、一人ひとりを大切にし、自分らしさを発揮することにもつながることです。

 こうした考えから、大阪府教育委員会では、各学校において、日本に住む外国人生徒が本名を使用することのできる環境づくりを積極的に進めています。

 そのため、次のような点を大切にしています。

  〇 本名を使用することは、自分らしさを大切にし、自らに誇りをもって生きること。

  〇  一人ひとりが、互いに違いを認めあい、共に生きる態度を身につけること。

 本名の使用については、個人の意志が尊重されるべきことはいうまでもありませんが、高校進学を機に、一人ひとりを大切にし、自分らしさを発揮することなどについて、前向きに考えていただきたいと願っています。

 皆さんにとって、今後の高校生活が有意義なものとなりますことを心から期待いたします。 

 

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