全朝教大阪(考える会)緊急アピール      2002年10月10日

 
「拉致問題」を口実とする
在日朝鮮人・民族学校への攻撃、
排外主義を教育現場からうち破ろう

全国在日朝鮮人教育研究協議会大阪(考える会)
 代表  印藤和寛

 
 日本人教育関係者の皆さん。市民の皆さん
 9月17日の小泉純一郎首相の朝鮮民主主義人民共和国ピョンヤン訪問と日朝共同宣言以後、「拉致問題」を理由に、在日朝鮮人や民族学校に対する脅迫、攻撃が頻発しています。

 18日には警視庁が全国の在日本朝鮮人総連合会の施設を保護するという非常警戒令を発令しました。大阪では、18日、民族衣装の「チマ・チョゴリ」を着て登校した中級学校3年の女子生徒に石が投げられ、横浜市神奈川区の神奈川小中高級学校には17日夜、数十本の嫌がらせ電話がありました。「拉致した人数だけ、朝鮮学生らを暴行する」「朝鮮人殺す。朝鮮に帰れ」といった内容の電話だったということです。こうした各種のいやがらせ、脅迫が相次いでいます。新潟朝鮮初中級学校は18日臨時休校し、大阪朝鮮高級学校では生徒はチマチョゴリの制服ではなくブレザーや体操着で登校せざるを得ない状況です。

 報道されているような拉致行為はおぞましい犯罪であり、その責任を追及し、責任者の処罰を求めることは当然です。私たちは、日本国内でのその真相解明と処罰を日本政府に要求します。(朝鮮民主主義人民共和国内の人がそれに関与している場合には、日本政府からする外交上の要請とともに、本国の朝鮮人自身の肩にかかる問題になります。同様に、かつて日本がなした100万人以上の朝鮮人の「合法的」と日本政府が言う拉致、強制連行、あるいは日本軍の性奴隷制についても、私たちは真相解明と責任者の処罰を日本政府に要求します。これは、日本人自身の肩にかかる問題です。)

 しかし、そもそも、朝鮮学校の生徒が、あるいは、ホームページ掲示板を一時閉鎖せざるをえなかったという洪昌守(ホンチャンス)さんが、「在日韓国・朝鮮人」一般が、こうした「拉致問題」と何の関係があるというのでしょうか。関係のない人を「朝鮮人」だからといっていやがらせをし、関係がないにも関わらず「朝鮮学校」だからといって脅迫、攻撃する、私たちの日本社会が、いまだにこのように「朝鮮人」「朝鮮学校」に対する排外的、差別的な攻撃の体質を残していることを、恥ずかしく思います。また、これを根本から克服するための教育現場での一層の努力を呼びかけるものです。それとともに、私たちは「朝鮮人」「朝鮮学校」の人権と子どもたちの教育権を断固守り抜くために、可能なあらゆる行動をとる決意です。
 
 在日朝鮮人の教育関係者、生徒や保護者の皆さん、民族学校関係者の皆さん。
 私たちは、皆さんと固く連帯し、在日朝鮮人の民族教育権をはじめとするあたりまえの諸権利をこの日本社会の中に確立し、多民族・多文化共生社会を実現するために努力します。また、そのことを通して、東アジアの諸国民の国際連帯と平和に寄与したいと願います。それは一歩も譲ることのできない、「教え子を再び戦場に送らない」という私たち日本人教職員自身の決意の一環なのです。

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