2003年2月28日

 すべての外国人学校の処遇改善を求める(声明)

 

民族教育ネットワーク

  昨年以来今年4月の閣議決定に向け、日本政府が外国人学校の処遇改善につい て検討している中で、とりわけ卒業時の上級学校受験資格について、学校教育法 第1条に規定された学校と同等の資格を認めることが考慮されていると聞き、期 待をもって注目してきました。それは、日本の社会が公正公平で、真に開かれた 活力ある共生社会へと発展するために欠かすことのできない大切な内容を含んで いるためです。

 ところが、2月21日付け朝日新聞によると、この問題について文部科学省で は、インターナショナルスクールにのみ卒業資格を認め、朝鮮学校・韓国学校・ 中華学校などの民族学校にはこれまで同様資格を認めない方向でいる、とのこと です。

 朝鮮学校など民族学校の処遇については、当該学校の関係者はもちろんのこ と、市民団体や法曹団体なども含めて多くの日本人も制度の改善を求めて要望を おこなってきました。一方、国連の子どもの権利委員会、人種差別撤廃委員会、 国際人権規約社会権規約委員会では、日本における民族学校の処遇が国際条約の 趣旨に反していると認定し、早急な改善を求める勧告を出しています。

 ところで上記記事では、文部科学省内部で、「北朝鮮」情勢と絡めて民族学校 の処遇問題が検討されている可能性を指摘しています。もしそれが事実なら、 「北朝鮮」情勢と、民族学校に在籍する子どもたちとは、まったく関わりがない にもかかわらず、拉致問題が契機となって発生した最近の朝鮮学校の子どもたち への暴行・暴言事件に本来反対し、防止に取り組むべき日本政府が、結果的に朝 鮮学校と「北朝鮮」をより結びつけ、暴行・暴言事件を助長してしまうようにな ることを憂慮せずにおれません。

 すべての在日する外国人住民にとって民族教育は、国際法上も保障されるべき 当然の権利であり、子どもたちの将来に関わる重要な人権保障です。それから考 えても、外国人学校の処遇改善から朝鮮学校などの民族学校が排除されること は、極めて重大な人権侵害であると指摘せざるをえません。日本政府は、国際化 と情報化の進展の中で、より多様な人々が互いのちがいを認め合って暮らせる真 の共生社会に向け、真摯で誠実な社会づくりに励むべきであり、それこそが活力 ある日本社会の発展を生み出す鍵であることに配慮すべきです。

 日本政府が人権尊重の社会づくりをめざす市民の動きと、国際人権諸条約の趣 旨を受け止め、すべての外国人学校の処遇を改善し、すべての外国人の子どもた ちが自らの民族的アイデンティティを育み、固有の文化的背景を自己実現に活か すことができるよう、必要な支援と措置を講じることを強く求めるものです。

2003年2月26日 民族教育ネットワーク

 

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